ステキシフトby石川ジン平

真面目系クズ、ブラック企業、読書記事、考え方について書いています。

【書評】追体験で"死ぬ"を知る「死んで生き返りましたれぽ」

泣いた。いや泣いてないけど、めっちゃ感動した。逃げないって何なんでしょうね、それを教えてもらいました。

不器用で、何かに向き合おうとして、それにしがみついてしまう人や、後悔について考えている人は、読んでみてください。本当にいい本です。

「死んで生き返りましたれぽ」村上 竹尾

死んで生き返りましたれぽ

死んで生き返りましたれぽ

 

 この本、実はpixivというお絵描きサイトですごい人気を博したものを書籍化したものです。だから、本じゃなくてもだいたいの流れはpixivで読めますのでどうぞ。

http://www.pixiv.net/member_illust.php?id=2032542

 

おすすめポイント

  • 死ななくても死ぬとどうなるか分かる。
  • 全編劇的すぎてすごい実体験を読みたい人に。
  • 読みやすい構成 

 

以下、感動したポイントを抜粋して、あらすじをまとめました。

 

 

これは、いきなり昏睡から始まる漫画です。すげぇ。

昏睡、そして

著者は絵を描くことを仕事にしています。ところが

「自分で望んだ生活なのに苦しいのはなぜだろう」

p99

「仕事をするのが辛く、しかし自分でやりたくてやっていることなのであきらめたくはありませんでした」

p100

「仕事にしがみついていた私がこれ以上なにも描けないと自分から言うのは恐怖でした」

p103

「絵を描いてほめてもらうのはうれしかった」

「友だちができたのもうれしかった」

「仕事にできたのもうれしかった」

「でも」

「普通に学校に行ったり勤めたり人と関わったりするのは自分には難しくてその結果がこれなら逃げでしかないのではと思って」

p103

仕事としての絵と向き合った結果に彼女は深い沼に沈んで行きます。

2年ほど前からとても体調が悪く、

めまいや発熱、ねこむことは日常茶飯事なりつつありました。

p6

そして無理を続け、ある日意識を失い倒れます。そのまま心肺停止状態になるものの、一命はとりとめ、しかし二週間眠り続けました。その後、今度は病院で目を覚ますものの、「うー」とか「あー」とかしか言えなくなります。

視界はひどくぐちゃぐちゃしていて

何が現実でどれが現実ではないのか

それすらわからず

体も動かず口も聞けず

自分がどうなって

どうしてここにいるのか

わかりませんでした

p9

 

そして、また、昏睡

『急変の可能性がある…ということでしょうか…』

「いいえ」

「残念ですがこの状態から」

「急変、ということはありません」

「…つまり」

「この先死亡してもそれは」

「自然の流れです」

p32,33

 

そのあと、目を覚ますものの、著者の精神は崩壊していました

意識は戻ったものの私の精神はこわれていました

あまりにもあばれるのでベッドにくくりつけられていました

わたしはこのとき

全く目が見えておらず記憶もなくなり精神に異常をきたし幼児退行のような状態になっていました

p34,35

私はこの時、男の声には「三本」女の声には「合原さん」としか答えていませんでした。目が全く見えていなかったためでした

なぜかこのときは

目が見えないということがバレるとダメだと、強く思っていました

p36,37

だいたい辛いときってこういう、悪いことがバレたらダメだと思い込んでいる気がします。

 

話せるまでは回復、だけれど目は。そしてもちろん絵も描けない。

何がきっかけだったかはわかりませんが

わたしの意識はこの日急激にはっきりしました

p50

看病に来ていた妹さんに話しかけられる中で、ゴールデンボンバーの話題になぜか飯能し、急激に返事ができるようになりました。

ただ、それでもまともに動けるわけではありませんし、様々な感覚が瞑想していました。目も、もちろん。

『ノート買ってきた』

『これにらくがきしてみたら』

『これなに』『下手ね』

『あんたが描けなくなって安心したわ』

『もう、絵のことは忘れなさい』

P65,66

たいした絵を描いていたわけではありませんでしたが

絵を描いて命を失ったという事実、そして

絵を描くための目を失ったという事実は、

私の看病に疲れた母にとっては、

私をあきらめさせる絶好の機会なのでした。 

p67

 

ほんの少しだけ絵が描けた!

そんな中、ついにほんの少し絵が描けます。アンパンマンも描けなくてなってしまった著者がかけたのは、「あんまんまん」という自作のキャラクターでした。

数本の線といくつかの点だけの絵は

絵というほどのものではありませんでしたが、

「何か分かるもの」が描けたのは

これが初めてでした。

p85

 そして、その絵を見て、妹さんをはじめ「良かった」と言ってくれる人がいました。

自信がなくても何も出来なくても家族や友人が

良かったと言ってくれるということ

(わたしは)

(生きててもよかったのか)

わたしはこの時初めてそう思いました

p87

 これはブラック企業を辞めたときに自分も思いました。(

めっちゃひどい全部死ぬ病気

 そして、希望が見えても何度もつぶされるんです。

一度希望が見えてもまたすぐに

別の心配が出てくるのです。

「わたしはなんの病気ですか?」

『……』

『すごくたくさん併発しています』

『まず糖尿、それによる血液が酸性になるケトアシドーシス』

『筋肉がとける横紋筋融解症』

『とけた筋肉が目づまりを起こして急性賢不全』

『栄養失調、肺炎、敗血症、さいごに』

『脳浮腫—です。

『全部』

『死ぬ病気です』

p93

 それを自覚して、身の回りの人の存在に気付いてやっと、前に進んで行けるようになります。

 

死んで行き返り前向きになって行く

「もし」

「退院できたら」

「次は」

「もうすこしまともな人間になりたいな」

「こんなふうに死にかけないと」

「そんなこともわからなかった」

p78,79

お見舞いにきた友人からの言葉が感動的です

「誰かがあんなふうに死ぬと」

「みんな自分を責めるねん」

「俺も思った」

「なんで止めんかったんやろて」

「だからお前の具合が悪くなったとき」

「めっちゃ後悔した」

「もうこいつとは話すこともでけへんやて」

「だからまあ」

「死ぬんは歳食ってからにしよや」

「お互いにな」

p136

 

劇的な回復で退院

「おお〜ついに退院か〜奇跡の人」

「しかも歩いて!!」

p150

「外に出ると季節が変わっていました」

「街路樹の鮮やかな緑は目に染みるほどでした」

p154

 時間が過ぎていること、それが生きているっていうこと。

 

まとめ:追体験で「死ぬこと」を知る

本のいいところは、「追体験」にあると思っていて、例えば自分から死にかけにいくことは推奨されませんが、こうして本を読んで追体験することはできます。

この本は、死にそうにならないと分からなかったことの一端を知ることが出来る本です。

もともとpixivというwebお絵描きサイトに載っていた絵ということもあり、軽くて読みやすいです。

僕は、逃げないつもりで仕事に向き合うことは、それ自体が現実から逃げているのと一緒なんだと、思いました。でもそれって、多分、死にかけないと方向転換できないことだったんじゃないかなと思います。無理して死にかけるくらいなら、ご一読を。

死んで生き返りましたれぽ

死んで生き返りましたれぽ

 
補足

作者、竹尾さんのTwitterです

https://twitter.com/pxllxq

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http://www.pixiv.net/member_illust.php?id=2032542

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